漢方薬には、医療保険が適用されるんですか。健康保険と漢方について教えて下さい。 (回答 ナンブ薬剤師 二宮洋一)

 

 

 

 

皆様もご存じのとおり、お医者さんにかかるときは健康保険、国民健康保険などの医療保険を使って受診します。


今回は、この医療保険と漢方薬についてお話ししたいと思います。


医療保険というのは、患者さんが医療機関を利用した時、その費用(の一部)を、その患者さんが加入している健康保険や国民健康保険などが負担するものです。


医療機関は、患者さんに対して行った医療行為をレセプトという形にまとめ、その費用を健康保険や国民健康保険に請求するわけです。


ただ、患者さんに行った医療行為がなんでもかんでもレセプトで請求できるわけではありません。

医療機関がレセプトで請求できる医療行為には厳格な決まり事があります。

どんなに患者さんのことを考えて行った医療行為であっても、この決まりごとに反している場合は、その行為に対して保険からの支払いはありません。


その決まりごとのひとつに「薬を処方するためには診断された病名が必要」というのがあります。

たとえば「インフルエンザ」という診断がなければタミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬は処方できないのです。

インフルエンザと診断するため、子供がどんなに嫌がっても鼻の粘膜をとって検査するのです。


漢方薬も同じです。

たとえば「更年期障害」という診断がされて「加味逍遥散」が処方されるのです。

かくして、原因不明の膝や腰の痛みをかかえて苦しんでいる人にさまざま検査を行って、この人の病名は「更年期障害だ」と確定診断を下して、加味逍遥散を処方することになります。

この検査はたとえばMRIなどは保険請求の対象ですが、自己負担額もばかになりません。

いったん確定診断が下されるとあとは早いです。加味逍遥散がだめならまた別の「更年期障害の適用をもった」薬が処方されるわけです。場合によっては3時間待ちの3分診療ということにもなりかねません。


これに対して、漢方薬局では医師の処方箋にしたがって漢方薬を処方するときは保険医療の対象になりますが、患者さんが直接薬局に来られていろいろ相談されたのちに、薬剤師が漢方の処方を決定して、患者さんにお渡しする場合は保健医療の対象にはなりません。


それでは、漢方薬局で処方箋なしで漢方薬を処方してもらうのにはどのようなメリットがあるのでしょうか。


まず、漢方薬には「診断された病名」はいりません。

病名を診断するためにの検査は行いません。その代わり、その患者さんが抱えて苦しんでおられる症状について徹底的に問診します。患者さんが明確に意識していない症状についても明らかになることが多いです。

漢方薬を調合する場合も、保険請求ではそこにつけられる点数が決まっています。なので、なるべく中国産の安い原末を使おうとするインセンティブが発生します。

保険請求をしないのであれば、そのような制限はありません。中国産の倍以上するような日本産の生薬を惜しみなく使うことも可能です。