そもそも「漢方薬」とは?  (株)ナンブの薬剤師

そもそも漢方薬って何なんでしょう?


 漢方薬は、薬用植物の根や茎、葉、花、果実などを乾燥させたもの(生薬)から構成されています。

どの植物や動物、鉱物のどの部位がどういう病気に効果があるかというようなことは、数多くの試行錯誤をへて、しだいに人々の知恵として蓄積されていったものと考えられます。

 

こういう知識はどこの国でもあったようで、我が国でもセンブリなどが薬草として知られていました。また岐阜県と滋賀県の境にある伊吹山(ここは日本武尊伝説でも知られています)は古代より薬草の宝庫でした。

 

 中国でも、こういう薬草の知識は「神農本草経(しんのうほんぞうきょう」という作者不詳の古い書物にあらわれます。この段階では、まだまだ薬草の知識を集めたものにすぎませんでした。

 

しかし中国ではすでにこの医療技術を体系化する動きが現れ始めます。
まず前漢の時代に編纂された「黄帝内経(こうていだいけい)」です。 ここには人体の機能や構造、生理機能や病気の時の変化、陰陽五行説、鍼による治療法などが書かれています。

さらに後漢の時代になると張仲景という医師がチフスなどの伝染性の急性疾患の診断と治療法についてまとめた「傷寒論(しょうかんろん)」が登場します。この傷寒論は慢性疾患についてまとめた後半部があり、これは現在「金匱要略(きんきようりゃく)」として伝わっています。

 

この、黄帝内経、傷寒論、金匱要略の三大基本書に基づいて体系づけられた治療法が今日私たちが「漢方」といっている治療法なのです。

ですので、例えば日本のセンブリなどの薬草を使った民間療法は漢方とは全くの別物です。
また、同じように薬草の知識から出発しながら西洋では全く異なった経緯をたどりました。

つまり、西洋では薬草を組み合わせて病気の治療に使うのではなく、一つ一つの薬草の中にある有効成分を取り出すという方向に進んだのです。 

 

 同じように薬草の知識から出発しながら、その薬草を組み合わせることで病気を治療したのが漢方で、薬草のなかの有効物質を単離して、その薬効を調べ治療に生かそうとしたのが西洋医学なのです。

またインドのアーユルベーダのように独自の道をすすんだ治療法もあります。

 

ちなみに「漢方」というのは、江戸時代に入ってきたオランダ医学である「蘭方」と区別するためにつけられた名称です。 また中国では、古代より伝わる漢方は毛沢東の時代に完全に消し去られてしましました。

 

現代中国に伝わっている中医学と呼ばれるものは、文化大革命以後に整備されたものです。

 

 

この話は長くなるので、またの機会にしたいと思います。